時なんてものは
物事とちがって
いつだって流れ続けて
おわりがないの



たとえ
あなたとわたしが
おわったとしても
今が過去になるばかり



遠く
眩暈がするほど
遠くまで
流れていったとしても



ずっと
変わらず
続いていくのよ






 

きっと
わたしが死んでもあのひとは泣かない



だから生きてる
それだけのこと



 

あなたは世界を持っていて
わたしは世界を嫌悪する



あなたは世界を愛しむので
わたしは世界に嫉妬する



あなたの世界にわたしは居らず
あなたはわたしに気付かない



あなたはわたしを知らぬまま
あなたの世界で生きている



交わらない世界の中で
その中心にあなたの姿



あなたを軸に
世界は廻る



延々と廻りながら
わたしもあなたを待ち続ける




 

秋の風が吹いて
色を変える街並み
そして私も指先から



染まるその色　秋色新色



身も心も染め変えて
変わる私は何色かしら




長き夜の静寂（しじま）
迫る朝の息吹
物憂げに息を吐けば
胸の内
はらはらと散るは
死に色の木の葉



広がるその色　秋色新色



胸に秘めたる想い乗せ
私はもひとつ息を吐く




ひとの心のように
移ろいゆく天気は
その内
澄んだ空を暗ませて
落涙を見せるだろう



滲むその色　秋色新色



曖昧になる輪郭で
私は世界に溶け馴染む





そして私は秋色の
新しき容（かたち）となるだろう








 

しらなかった
こんなにも
やさしい目が出来るなんて



ずるいなあ



あなただって
しらなかったでしょう
自分のことなのにね