何気なく立ち止り
絶え間なく
ぶつかり はじける
雨の音を聴いた
胸の奥
ことり と
圧倒的な何かが揺れる
誰かの声が聴きたくて
耳を澄ませても
ひろうのは ただ
雨の呟きばかり
くっきりと浮かび上がる
鮮やかな色と匂い
さえざえと清んでいく雨の息遣い
あめはきらい
というあのひとの声の調子
だってさみしくなるじゃない?
そう言ったあのひとの顔と
水溜りに映るわたしの顔が
似ていることに
少しくちびるを噛んでみる
雨は変わらず降りしきり
万物は皆
悼み黙するように佇んでいる
そして響くは、雨音。