痛みを知るものはやさしくなれる
というのなら
やさしさなんて欲しくなかった


苦しみを知るものは強くなれる
というのなら
強さなんて要らなかった


痛みも苦しみも
長く深く
留まり続けて
わたしを苛む


知って良かった
とは
決して思えない


それでも


知らなければ良かった
とも
思わない


抱える
痛みも苦しみも
皆
わたしだけのもの


わたしにしか
向き合えない
鏡のようなものだから







 

静かに

降り積もる


あなたへの

想いも

感情も


綺麗なもの

では

ないけれど



そのように

装うことは

出来るのよ





 

我　人を愛し
我　人を求めん


人　我を恐れ
人　我を蔑み
人　我に怯え
それ故に
人
我に溺れ
我を愛さんとす


人
我を孤独と称す


しからば
我
人の孤独を甘受せん






　

あなたにはしあわせになってほしい



そう呟いて白い息を吐くひとは
わたしの隣
真っ直ぐ夜の闇を見据えて
小さく
さみしいけれど
と
付け足した



わたしの手には
あなたの手
強く握れば
同じように返され




それ以上
わたしたちは何も言わなかった








 

時なんてものは
物事とちがって
いつだって流れ続けて
おわりがないの



たとえ
あなたとわたしが
おわったとしても
今が過去になるばかり



遠く
眩暈がするほど
遠くまで
流れていったとしても



ずっと
変わらず
続いていくのよ