近付かない方がいいと
本当はわかっていた


それでももっと近付きたかった


だから手を伸ばした
空の星を掴むみたいに


失うものなんて考えなかったわ
それだけで精一杯だったもの





 

よろこび　と　かなしみ


いとしさ　と　せつなさ


あなた　と　わたし


希望　と　絶望


愛情　と　憎悪


理　と　慾


清　と　濁




表裏一体
紙一重




 
 

誰かが傍に居る

からといって

わたしが

ひとりぼっちなのは変わらない

と知った

９月の午後




世界は今日も鮮やかです




 

日は燃ゆる


一刻の激情に身を焦がし


堕つるを望みて向かふ先

 

待ち侘びるは夜の気配


逢瀬の果てに沈みゆく


一寸先は闇の中



逢瀬は短し


夜は長し


溶けゆくまにまに


夢を見て


望まぬ朝はやがて来ぬ




 

雨が降っています


ざんざら
ざあざあ


降っています



軒下からは


ばちゃぱちゃ
ぴちゃびちゃ


賑やかな雫



雨の音が
皆
わたしの中に吸収されて
全身
濡れたようになっています



このまま濡れ続けたら
流れていけますか



今は遠くの
あの人の許へ