この世界で生きるには

 

この腕は細すぎて
この躰は頼りなく
この心は脆かった


世界中
皆　敵だと思っていた頃


普遍的な明日
というものが
ただ只管に怖かった
 

 

なにかをいとおしく　いつくしむ
ひとつのこころ
ふたつのひとみ


なにかをにくみ　ふかくねたむ
ひとつのこころ
ふたつのひとみ



こころはむねに
それともあたまに
あるものとするならば



そのまなざしに
やどるいろは





 

懸命に喋っても
誰も耳を傾けてはくれないので
彼女は言葉を失った


笑っても泣いても
誰も気に留めてはくれないので
彼女は表情を失った


誰も彼も
彼女を見ようとしないので
彼女は世界との繋がりを失った



それでも残る
不可解な感情の名を
彼女は知らない



怒りというものが
哀しみと併せて
最も
凶暴で純粋な感情に変化するものであると



彼女は未だ知らない
 

 

一言
余計だったな


もう
好きにはなれないよ


一生
ずっとね